述而不作 いにしえの未来

占い師の見てきた世の中を語ります 遥か古代から続く終わりの始まりを見据えて

フィルターバブルを超えて~Spotifyとの付き合い方

若者のGoogle離れということが云われていて、要するに自分の知りたい情報だけを検索して、自分の知りたいニュースだけがプッシュ技術で飛んできて、SNSでは自分と意見のあう人だけをフォローしていった結果、却って世間が狭くなる現象を指すようです。

ここにフィルターバブルという言葉があって、自分好みにカスタマイズされた情報しか表示されないというお話です。

 

ja.wikipedia.org

若者はGoogleではなくSNSでのハッシュタグ検索を重視しているようで、確かにこれも一つの方法ではありますが、世間が狭くなることには変わりはありません。

「今の若者は『SNS検索』を駆使しています。特にツイッターとインスタグラムは、ユーザーの8割以上が検索に利用していますね。やり方は特に難しいものではありません。“ハッシュタグ機能”を利用するだけです」(同・ジャーナリスト)

 https://myjitsu.jp/archives/59961

 

ひとまずSpotifyの話をしましょう

Spotifyは定額音楽配信サービスですから、かつてのCD購入のようにハズレ覚悟で大枚の金子をはたくことなく、気になった音楽がいつでも聴けるのが最大のメリットではありますが、これとても自分の音楽の好みに合ったアーティストやアルバムをレコメンドしてくるものだから、これに抗って自分の音楽世界を構築するのはなかなか至難な技です。

例として、私のこのプレイリストは完全に私が自分の頭で考えて作ったものです。

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原則として和音の出せない楽器の無伴奏作品を集めたもので、バッハの無伴奏ヴァイオリン(以下略)や無伴奏チェロ(以下略)を嚆矢として、19世紀にはほとんど創られていないようですが、20世紀に入ってから多くの作曲家が無伴奏ソロ曲を創り始め、これにバッハのヴァイオリン、チェロ作品の管楽器編曲が百花繚乱となっています。

いわゆる現代音楽における無伴奏曲はベリオのセクエンツァシリーズがあるほか、シュトックハウゼンのオペラからの独立作品を含む多くの無伴奏曲、数少ないながら武満徹湯浅譲二などにも無伴奏曲はあります。

さらに、ジャズにもあって、アルバート・マンゲルスドルフのトロンボーンソロ、ブランフォード・マルサリスサキソフォンソロ、ロン・カーターやチャーネット・モフェットのベースソロなど、根気よく探せばあるもので、現在このプレイリストは1000曲を超えています。

こういうことを地味にやっていかないと、いつしか自分の好みの音楽しか関心のない(実はそれでも構わないのですが)、狭い世界でしか音楽を楽しめなくなります。

集合知もAIも幻想だった

かつてインターネットは情報の宝庫でこれがあればテレビも本も要らない、AIが自分のなすべきことを指示してくれるという期待がありましたが、これは幻想に過ぎなかったとつくづく思います。

検索結果の行き着く先は、多くが企業広告やまっとうな記事に見せかけた健康食品や起業、投資のPR、そして実に粗雑な日本語のWikipediaなど、これから発展していくにしても、次第に人間を怠惰にしていくだけではないかと思います。

物事行き着くところまで行くと原点に還るという意見がありますが、すでにスマホは機能の飽和とムダな高性能化と信じられない高価格で、ガラケーに戻りたい人が出ている有様です。

「インターネットとは何か?」という問いに対して「パソコンのことでしょ?」と答える人も多いようで、逆にもともとネットワークエンジニアの用語であった「パケット」という言葉が普及し、通信キャリアはここぞとばかりにギガギガ行って機械音痴な人を騙そうとしています。

私は、CDを大量に買おうとまでは思いませんが、古くからある本や映像/音声資料を大事にしていきたいと思います。
年に何度かは見知らぬ作曲家に出会えるFM放送、あまり詳しくない学問分野の助けになる放送大学ラジオ放送など、ちょっと発想を切り替えるだけで、世の中には自分の知らない世界が広がっていることを知らされます。

さらに電子デバイスも、電話は通話限定のガラケーまたはそれに近い機能限定版の廉価版端末に乗り換え、読書や勉強系はタブレットでやる方向に決めました。

PCはMacからWindowsに乗り換えて3年になりますが、あと最低3年できればあと5年は使いたいものです。

音楽産業は最近景気がいいらしい

これは日本を除く全世界分野での話らしいのですが、配信音楽が普及して、同時にあまり知られていないアーティストもYou Tubeで演奏動画を紹介したりして、それらの情報を頼りにコンサートに通う人が増えているとのことです。

日本はおそらく90年代の「CDという円盤の夢」にすがっているようなので、レコード業界が冷や飯を食っている模様ですが、Spotifyのレコメンドは一度忘れて音楽書を通して音楽に親しむというのもそう悪いものではないです。

巨匠の「○○○○50周年記念 リマスターCDボックス 重量級LP2枚組付き」などというのをAmazonで見かけますが、そうしたものにカネを出す人もやがては終活を考え出して買うのを控えるのではないかと思います。

以上、とりとめもないことを書いてきましたが、ちょっと視点を変えるだけで世の中は随分楽しいものだということを改めて主張してみたかった次第です。