述而不作 いにしえの未来

占い師の見てきた世の中を語ります 遥か古代から続く終わりの始まりを見据えて

4文字略語は意味を崩壊させる法則

日本人は、英語を話すのがカッコ良いとする文化と、公然と英語を話すのは気恥ずかしいことだという、両極端の価値観の間で引き裂かれていて、結局、何一つ外来語を理解していないという意見があるようです。

ことに、長い外国語をカタカナ語にして、それを4文字略語にすると、もともとの意味を隠蔽していたり、違う意味を付与したり、別の意味に変容させたりする思惑が働きます。以下、その好例をいくつか紹介します。

 

(1)リストラ

もともとは、Restructuring(リストラクチャリング)の略で、企業が業績の良い時には、さまざまな異業種に進出したり、海外展開を図ったりするものの、業績が悪化した場合には、不採算部門からの徹底、人員の最適配置、共通部門の外注化といった最適化を行い、その過程としてレイオフもありうるという意味なのですが、「リストラ」といったら、単に馘首のことを指すようになり、もともとの意味は消失しています。

 

(2)セクハラ

もともとは、Sexual harassment(セクシャル・ハラスメント)の略で、人事権を縦に女性従業員に性的関係を迫ったり、オフィス内で性的な言動を取ること全般を言いましたが、セクハラと略した時点で意味がどんどん変容し、ついには「私だけセクハラされないのはセクハラだ」と言い出す人が出たりして、もはや「性的な嫌がらせ」という意味そのもののが忘れかけられています。

また、「モラハラ」という言葉もありますが、こちらは「モラルハラスメント」と「モラルハザード」の両方の意味が混在していて、すにで意味が消失しかけています。

 

(3)パソコン

パーソナルコンピューターの略称とされていますが、かなり戦略的な匂いがします。「パソコン」と呼べば響きが楽しそうなので、「ほら、難しくないですよ。こんなに簡単で楽しいんですよ」というセールス上の都合で呼ばれているようです。

実はパソコンと呼ぼうが、PCと呼ぼうが、端末と呼ぼうが、これは「コンピューター」です。かつての巨大コンピュータールームにあった、磁気テープ装置や中央演算処理装置や磁気ディスク装置などと、動作原理は何一つ変わっていません。

さらに、タブレットスマートフォンも同じくコンピューターです。

自分でプログラムを書いて動作させる必要がなくなったというだけで、トラブルが起きれば自分で解決しなければなりません。

 

(4)コンプラ

コンプライアンス法令遵守)の略ですが、このように略された時点で本来のその厳粛な意味は忘れられて、単に会社が実施する「コンプラ研修」を受けていればそれで良いというだけの、矮小な意味になっています。

 

ほかにもあると思うのですが、とにかく4文字カタカナ略語を見たら、それのもともとの意味(英語)をしっかり把握して、そこからぶれないことが大事です。いくら周囲が文句を言っても、もともとの意味を把握して徹底的にそれを振りかざしていれば、災いごとを避けられると思います。