述而不作 いにしえの未来

占い師の見てきた世の中を語ります 遥か古代から続く終わりの始まりを見据えて

山根明季子さん新作「THE FOLDED TIME」に私の少年時代の想い出を重ねてみました

作曲家 山根明季子さんの新作CD 「THE FOLDED TIME」を先日より堪能させていただいています。

 

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この作品は音響イベントまたは一種の集団即興のような形で10時間にわたり行われたもので、誰でも(といっても楽器がちゃんと弾ける人だと思います)好きな時間に参加して、「なるべく長い持続音」(←ここ重要)を出し続けるというものだったようです。

CD化に当たっては、10時間の音響を25分弱に凝縮したことで、短い音はパルス状に飛散し、ある奏者が10分程度鳴らしたであろう音が数秒程度で入れ替わるなどで、結果的に電子音響のような感触になっています。

山根さんの音楽との出会い

作曲家自身が積極的にSNSで情報を公開し、リスナーがそれを論評したものを拡散したりしている現在、知らない作曲家の作品に触れる方法はいくらでもあるわけですが、山根さんの作品については、NHK MUSIC TOMMOROWのBS収録放送を特に理由もなく録画していて、この時に演奏されていた「水玉コレクション No.06」を聴いて音が出た瞬間腰を抜かしそうになったようのが始まりです。(60年代用語を自虐的に使うと「シビれた」というのが相応しいかと思います。)

 以降、主にYou Tubeで山根さんの作品はすべてチェックするようにしています。

少年時代の想い出を重ねてみる

時代は1970年代末。ロック史の中では「ポストパンク」と呼ばれていた頃、ガラクタのような機材とテープレコーダーを集めてきて音響作品を作り上げるのが普通に行われており、当時のスローガン「D.I.Y」「楽器の下手な俺たちにもできるんだ!」というある意味無謀、ある意味希望に溢れた時代の雰囲気に乗って仲間内で音響作品を作り上げました。

今思い返してもなかなかの力作で、短波ラジオ(当時はマニアが多かったのです。)の各国放送の録音、ドラム缶の中にテープレコーダーを置いてあちこち叩いたり、さまざまな発声をしたりする「ドラム缶エコー」の録音、あまりにもボロクソで回転数の落ちているテープレコーダーから繰り返しダビングすることで音程とテンポを落とした音響や、倍速頭出し機能を使った早回し音響などをコラージュした10分程度の作品です。

これはアマチュアのやることだからお遊びということで許容もされるでしょうけど、プロの音楽業界においては「いい加減ちゃんとした音楽を聴かせろ!」という声が大きくなり、80年代後半以降はそういうムーブメントは下火になって行きました。

その頃私は、モダンジャズばかり聴いていた一時期があるのですが、現代音楽が"少なくとも以前よりは"広く親しまれるようになったことに伴い、音盤の入手が容易になりましたから、相当数の現代音楽を聴くようになって現在に至ります。

 

作品の感想

譜面にされたものではないようなので、作品の解説のとおり、音響操作の結果短い音がパルス状に散乱し、ある程度長い音が頻繁に入れ替わるのを虚心に聴くのが楽しいということです。

と同時に、かつてオープンソースソフトウェアのAudaciyを使ってアルヴィン・ルシエ作品の正弦波を操作してどこまでテンポを下げるとうねりになるかを楽しんだり、iPadアプリのVCSシンセサイザーが出す妙な音を逆回転させたりといったことをまたやりたくなってきました。

ただ、老人ではないものの決して若くはない自分の人生の残り時間を数えると、山根さんの新作に期待しながら過ごしたほうが有意義だろうなと思います。

私は長年読書ノートを付けているのですが、来年からは音楽鑑賞ノートも付けようと思いますので、山根さんの作品もYou Tubeに上がっているものから徐々に自分で整理してみましょう。

最近作文力が落ちていてあまり良い文章にならなかったですが、ひとまず感想文でした。