述而不作 いにしえの未来

占い師の見てきた世の中を語ります 遥か古代から続く終わりの始まりを見据えて

20年前からあった電子書籍の夢ーイマサラ感のある定額サービス

音楽はAppleミュージック、書籍はAmazon Kindle、動画はNetflixといったサブスクリプション/配信モデルで沸き立った2015年でしたが、それらはいずれも「かつてあったもの」なので、その話を書きたいと思います。

 

www.sbbit.jp

 

1 電子書籍のルーツはパソコン通信時代からあった

 

90年代半ばのパソコン通信ユーザーは、ある意味当然の発想として「もう紙なんて要らないんじゃない?このままパソコンで本を読めばいいじゃん」という発想で、中には「5年以内に紙媒体の書籍は衰退する」という妄想を語る人までいました。

 

確かに、コンピューターによるパブリッシングは充分浸透していましたから、あとは通信で配信すれば良いだけの状態であったとはいえ、次の点がまったく考慮されていませんでした。

 

1 権利者や既存業界の抵抗

2 3Kg近いノートPCを常時携帯することの理不尽

3 貧弱な公衆回線網

4 極めて少ないストレージ容量

5 極めて不安定なOS環境

 

そして困ったことに、西暦2000年頃から携帯電話が普及し始め、これは携帯性においてはバツグンではあったものの、メールでのコミュニケーションの楽しさに魅入られて、読書の娯楽性が完全に衰退していったように記憶しています。

 

実質、出版不況は1998年くらいから起きていますので、原因の一つは間違いなく携帯電話の普及でしょう。友人知人とメール交換していたほうが楽しいに決まっていて、それは現在スマートフォンが主流になってLINEとゲームでヒマをつぶすほうが楽しいというのと同じです。

今も昔も、書籍は一部愛好家のためのツールです。かつては仲間内の共通の話題としてのベストセラー本がありましたが、携帯電話普及後はそういう文化も衰退していると思います。

 

2 時は流れて~これからの私の配信サービス利用予定

 

現在その気になれば、「音楽」「書籍」「映画/映像」が好きなだけ楽しめるわけなのですが、実は定額配信サービスは決して安くはありません。

 

毎月各数百円とはいっても、年間にすれば6,000円~12,000円程度はかかっていますし、しかもパケット代は別ですから、MVNOの潤沢なプラン毎月1500円相当を1年間で18,000円程度として合算すると合計3万円くらいにはなります。

 

毎月3,000円近い予算を投じて日がな一日映画、音楽、書籍三昧で過ごせる人というのは、おそらく年金暮らしの老人くらいでしょう。

 

ただ、「ミニマリスト」という言葉が象徴するように、1万冊の蔵書と1万枚のCDを所有するとなれば、それ相応の広い家に住む必要がありますが、完全電子化または配信に移行すれば端末1台と簡易なオーディオ装置があれば済みますから、ワンルームマンションでも暮らしていけるわけなので、それと相殺してコストを考える余地はあると思います。

 

<音楽>

 

私の場合、これまで買ったり借りたりしたCDの音源が3TB以上をストックしてあるので、配信モデルでわざわざ聴くほどのモチベーションがありません。よって、こちらのサービスはスルーさせていただきます。

 

最新情報の取得はYou Tubeでまかないます。 

 

<書籍>

 

 Kindle本で意外と重宝しているのが「雑誌」です。雑誌のよいところは、たとえば「アベノミクスの成果」と「SMAP独立」と「落日企業の元社員の末路」と「これからの投資有望株」といった雑多な情報を広く収集できることです。

 

ネット時代になってから、自分に関心のない情報はスルーしてしまうようになって、知識が偏り過ぎる傾向がありますので、その是正という意味でもランダムに月に1冊くらいは買うようにしています。 

 

あと、新書系はそれなりに充実していますし、古典は青空文庫などで提供されていますから、私もまさか読むことはないと思っていた九鬼周造の「いきの構造」などを拾い読みしています。

 

<映画>

 

1作あたり2時間程度の鑑賞時間がかかる娯楽ですから、途中で小休止しても良いとはいえ、You Tubeなどで前評判をチェックしてから観るということになるのだと思います。

 

いずれにしても、音楽とは違って一日中流しっぱなしにすることにはいかなる意味もないので、どこまで付き合うかは未知数です。

 

3 便利が極まれば別の「不便」を探すことで未来は拓ける

 

電子書籍であろうが、紙の書籍であろうが、それは著作物であることに変わりはないのですが、一部の作家は紙の書籍に固執して電子化を拒んでいるケースがあるようです。

 

具体的には三島由紀夫大江健三郎です。大江健三郎は最近ようやく電子化が果たせたらしいですが、従来型のメディアというものに極端なこだわりを持つ人はいるもので、たとえば、ページを捲るときの指の質感が大事だというようなものかもしれませんけど、どのみち時代の趨勢には勝てないでしょう。

 

一方、消費者のほうでも高齢者を中心に苦情は出てくるものと思われます。

 

「なんでも便利になればいいと云うものではない。」

「時代についていけない」

 

という感じですが、そういうことを言っている人たちであっても自家用車を運転したり、海外旅行に行ったりしているわけで、そういうことが気軽にできるようになったのは、おおむね1980年代以降のことですし、携帯電話やパソコンなんてオレは死んでも使わないなどと言っていたくせに、孫の写真がメールで届くとなったらあっという間に操作をマスターしているわけです。

 

畢竟やる気があるかないかの問題であろうと思われます。

 

また、何事も便利が極まれば別の不便が生まれるもので、すでに一部で始まっているモノクロ映画のカラー化などがその一例です。これまでモノクロで間に合っていた映画が、それでは物足りないと考える層が出てきたわけですから、こちらも創意工夫があれば新たなニーズが開拓できるのでしょう。

 

それでは、2016年もこれらの動きを注視していきましょう。