ほぼ新築の戸建てから引っ越しが相次ぐ~昨今の賃金水準と働き方改革の闇
新築ラッシュと空き家ラッシュが同時進行
我が家は築25年以上の古い借家とはいえ戸建てで、あまりの住心地の良さに惚れてずっとこのマチに住み続けようと思っているのですが、そんな閑静な住宅街の新築に近い家から次々と空き家が出始めました。
新築ラッシュになるのは消費税増税前の駆け込み需要でしょうが、空き家ラッシュのほうは、まるで逃げるようにして去っていく家が多いのです。
先日は、一つの家の引っ越しにトラックが3台停まっていましたから、一家離散状態になっているであろうことは疑いなく、夢のマイホームにたかだか5年程度しか住めなかった家族の気持ちはいかばかりかと思います。
新築に近い家を売りに出して去るのは、おおむね(1)離婚(2)ローン返済が早々に破綻 のどちらかしかなく、場合によってはどちらかが引き金になって両方同時ということもあるでしょう。
離婚は他人の知るところではありませんが、ローン破綻についてはいろいろな理由があるのだと思いますので、推測されるところを書き連ねてみます。
昨今の賃金水準
いわゆるアベノミクスがある程度奏功し、同時にリーマンショックからの痛手からも立ち直りつつあった時期には、賃金は上昇傾向にあったようなのですが、人事情報雑誌の書くところによれば、それもそもそも頭打ちになっているようなのです。
加えて、消費税増税に備えるための強引な物価上昇(それもまだ目標値の2%には達していないらしい)に対して、実収入と消費性向はあまり上向いていないのですから、結果的に生活の切り詰めが加速していきます。
併せて、ボーナス水準も伸び率鈍化の傾向が出ているようです。
https://venture-finance.jp/archives/21666
加えて、「令和の働き方改革」(そう名付けてみた)によって、各企業は厳しく残業を抑制し、仕事がまだ山積みになっている社員に強制退社を命じることになります。
仕事の合理化が進んでいない以上は、強制退社した社員は結局ところ持ち帰り残業をすることになって、もちろん残業代は出ませんし、持ち帰り残業を拒否すれば仕事を完遂できないですから、管理職面談の際に申し開きができず、ボーナス査定や昇進に影響がでますし、最悪リストラもありえます。
仮に残業代が毎月20,000円、年間240,000円カットで、ボーナス支給額が年間6万円カットということにばれば、合計で30万円の年収ダウンとなります。賃上げ分がほとんど意味をなさないことになります。
毎月の生活費が25,000円ダウンしたら
これは人によりけりなのですが、住宅ローンを組む人は庶民のささやかな楽しみの晩酌や外食もやめて、夫の小遣いも減らしてローン返済額を捻出することもあるようで、そうなるとどうしても夫婦喧嘩が増えます。金持ちケンカせずの反対で窮乏生活が長引くとケンカが増えるのです。
会社の付き合い酒にも行けない夫、ほしい洋服も買えない妻、立派な家といい車(持ち家を建てる人はたいていそれに見合ったグレードの車に乗ります)があって、ドライブにも行けず、立派なリビングでカップ麺をすする姿は落涙を禁じえません。
その結果、持ち家は手放して離婚または一家離散(妻または夫が実家に身を寄せるなど)という結果になるのだと思います。
http://nini-baikyaku.biz/keibai/houseloan.html
残業代ダウンと消費税増税
食料品などを除き10月から消費税が8%から10%に増税されます。大企業ベースの賃上げ水準だけ見れば妥当とも思えますが、中小企業や非正規雇用者の場合はこの限りではなく、マイホームの新築ラッシュも収まるでしょうから、2020年のオリンピック後には「宴のあと」がどんな状況になっているのか、あまり希望がもてません。
私は過疎のマチに生まれて、廃屋を見ながら育ってきましたから、せめて我が家の近所だけでも人の住める場所であってほしいと思っています。
(付記)
持ち帰りサービス残業はどうするのか
すでに、このような状況が常態化しているのが実情のようです。
https://toyokeizai.net/articles/-/154089
持ち帰り残業が一律悪いとは云いませんが、仕事のファイルをUSBメモリに入れて持ち出せば、機密情報漏洩のリスクが高まりますので、別の社会問題が顕在化するでしょう。