述而不作 いにしえの未来

占い師の見てきた世の中を語ります 遥か古代から続く終わりの始まりを見据えて

(展覧会鑑賞記録)奇蹟の芸術都市 バルセロナ展 ―ガウディからピカソ、ミロ、ダリまで―

台風の「た」の字もなかった札幌の三連休、被災地の皆さまには誠に申し訳ないことですが、標題のような展覧会に足を運んできました。

折しも紅葉の季節、自然の中に作った美術館の外はは色とりどりの木の葉に囲まれていました。

 

artpark.or.jp

なにやら大御所画家の名前がずらりと並んでいますが、一地方都市の市立美術館にそんな名画が来るはずもなく、一方で別にあまり知られていない画家であっても美術館という空間は一種の祝祭空間として楽しめるのです。

メインは1929年バルセロナ万博90周年に因んだ展示となっていて、一応、ガウディ、ピカソ、ミロ、ダリの作品も数点ずつ展示されていました。

20世紀初頭という時代

音楽の話になりますが、今年はなにやら後期ロマン派~無調~12音技法という現代音楽への歩みを考える上で重要なシェーンベルク作品の上演が数多く開催されました。

考えてみれば、この20世紀初頭(前半)は二度の世界大戦という大きな不幸があったものの、芸術面では表現主義シュールレアリズム、ダダイズムフォーヴィズムキュービズムなどが相次いで勃興し、新メディアとしての映画を加えれば芸術の視野が随分広がった時期なのではないかと思います。

もっとも、これはそうした歴史を知っている私たち現代の人間がそう考えるだけで、当時は新奇な怪芸術として扱われていたのでしょうし、それは今でも同じでコンピューター制御の特殊な光の造形を伴ったダンスは、普通の人には受け入れられないでしょう。

万博という未来志向

日本では1970年の大変な近未来志向の大阪万博が記録に残っていますが、今回の展覧会のテーマの一つであるバルセロナ万博も同じく未来志向で、こうした芸術もそういう視点で見るとまた別の面白さがあると思います。

ちなみに、一枚目の写真は1970年の大阪万博のパビリオン、二枚目の写真は現存する隅田川沿いのアサヒビール本社社屋の通称ウ○コビルです。

どちらも、今の目で見ると悪夢のような(失礼)形状をしています。

 

f:id:sanayan999:20191015191537p:plain

f:id:sanayan999:20191015191307j:plain

いずれにしても、未来志向が楽しかったのは1970年代半ばまでで、以降は第一次オイルショックと経済の低迷に連動するかのように、世の中全般が懐古的になっていったように思います。

 現在、近未来を経験したければApple Storeソニーストアにでも行けばよく、皆未来のことより今現在の目の前の課題を解決するのに必死のように見えます。

逆にそうした世の中だからこそ、20世紀初頭のアートが異彩を放って見えるのではないかなと考えてもみました。

最後に、札幌芸術の森美術館の美しい紅葉写真を貼っておきます。

f:id:sanayan999:20191016042458j:plain