述而不作 いにしえの未来

占い師の見てきた世の中を語ります 遥か古代から続く終わりの始まりを見据えて

【読書感想文】面倒くさい女たち(河合薫)

 職場のあちこちにいる面倒くさい女たちの生態とその対処法を書いたこの本を購入しましたので、思うところを書いてみます。

面倒くさい女たち (中公新書ラクレ)
 

 著者は女性なのですが、その女性自らが「女は面倒くさい」と言っているのですから、相当なものなのでしょう。私は男性なので最初から女性とは必要最小限の会話しかしませんが、管理職ともなればそういうわけにもいかず、女性管理職も含めてアタマを悩ましているという話です。

ただ、著者の女性観察ないし事例調査が随分と大雑把で、妙な造語を作ってその解説をもとに事象を分析するという、正直言ってあまり信頼のおける内容ではありません。

いくつか気になった内容を抜粋してみます。

女性の管理職は部下の女性から非常に疎まれる

これを、「雇用機会均等法第一世代の女性管理職は育児休暇も短時間勤務も整備されていないころからガムシャラに生きて来たから、今の若い女性たちが母性保護の恩恵を受けていることが妬ましく、厳しく当たることが多い」という分析です。

あと、そういうキャリアウーマンとして地位を築いた人は優秀な若い女性を憎む傾向があって、これを「女王蜂症候群(クイーンビーシンドローム)」という造語で説明しています。

しかし、私の観察によれば女性管理職といっても部長職以上の重役クラスばかりではなく、課長や課長代理のようなプレイングマネージャーもいるわけで、直接人事考課をするのは彼女たちです。

部下の女性が女性上司を疎ましく思うのは、むしろ泣き落としも色仕掛けも一切通用せず「ダメなものはダメ(元社会党党首 土井たか子がまさにそれでした)」で押し通されるからではないかと思われます。

女性の会議はものすごく長い

これは、女性の会議が「結論を出すため(do)」ではなく「その場に居る(be)」ことを重視するからなので、著者によると最長6時間という会議があったそうで、それで結論が出たのかどうか不明ですが、確かに大変な時間のムダというべきでしょう。

その対処法として、「男性が最後を取りまとめれば良い」という乱暴な結論を提示していますが、これは何も問題の解決になっていませんし、女性だけで会議をする場合には何も決められないということと同じです。対処法はないということかと思います。

なお、私の勤め先は会議時間を可能な限り短くというお達しがあるので、2時間が限度です。それまでに結論が出せない場合には、上長の預かりになるようです。

女性はプレゼンの根回しをしない

これは私もびっくりしたのですが、社内プレゼンで関係者への根回しをしなかったら、いくら力を込めて説明しても、聞いているほうは容易に納得できないでしょうし、上に書いた「会議が長くなる」ことにも関係がありそうです。

これについて著者は「女性も根回しをすることを励行する」としているだけで、こと世の中で根回しほど大変なことはなく、力づくで説得してもダメな場合には、「すでに○○課長(ここは誰でもよいですが当の相手より格上の人のほうがよい)も納得されておりますし)、もし何か良い改良案があったらいただければ反映させたいのですが・・」というような交渉を続けていく必要があります。

根回しというのは長時間勤務の温床になりやすいのですが、その代わり意思決定が早くなるという利点もあるので、その辺がまだわかり合えない部分なのだろうなと思います。

結局「男社会が悪い」と文句を云っているだけの本

ジェンダーバイアスとかいう用語を駆使していて評論家風を装ってはいますが、要するに男社会が悪いという、田嶋陽子のような言説と五十歩百歩のような本なので、こうした本を読むぐらいなら、企業向けの月刊誌を読んだほうが有意義です。

www.busi-pub.com

新書にありがちな書き飛ばし本なのですが、あまりユーモアのない文章なので、結果的に読んでいて面白みがないという残念な結果に終わったようです。