述而不作 いにしえの未来

占い師の見てきた世の中を語ります 遥か古代から続く終わりの始まりを見据えて

【補遺】わたしとシュトックハウゼン~青春の日々から老後まで

(この文章はわたしの個人的な音楽体験を綴った雑文です。)

わたしの三大ヒーロー

音楽に多感になりがちな中学生の頃から今に至るまで私の三大ヒーローミュージシャンは

キング・クリムゾン
カールハインツ・シュトックハウゼン
マイルス・デイヴィス

です。この偉大なミュージシャンたちに共通していることとして

(1)熱狂的なファンが多い一方でアンチも多い。(あるいは特定の時代の作品以前/以後を認めていない)
(2)それぞれ、ロック、現代音楽、ジャズというジャンル分けを超えた強烈な個性を持っていること。

があります。

キング・クリムゾンマイルス・デイヴィスは、それぞれ膨大なディスコグラフィーや評論本が出ているのですが、これまで体系的な資料がほとんどなかったシュトックハウゼンの解説書が刊行されたことは大変大きな喜びです。これでいつでも、楽曲と資料を照合しながら聴けるのです。明日から新元号「令和」ですが、良い時代になるかどうかは別として、自分の音楽鑑賞の充実は飛躍的に充実しました。

 

tukurazu.hatenadiary.com

 

シュトックハウゼンとの出会い

実はあまり覚えていないのですが、ジャーマン・ロックのバンド「カン」や「クラフトワーク」そして、1970年代後半に発生したポストパンクの中のオルタナティブ・ロックと呼ばれる音楽などから、現代音楽全般に繋がっていったはずです。

信じられないかもしれませんが、1970年代後半のロック雑誌でシュトックハウゼンやケージのことが紹介されていたのです。(それだけロック音楽がつまらなくなっていったということでしょう。)*1

その後のことは、上記感想文に記載してありますので、お読みくだされば幸いです。

また、シュトックハウゼンに限らず現代音楽全般の受容を考えるうえでは、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」のジャケットにシュトックハウゼンが顔を連ねているのを見るとわかるとおり、60年代カウンターカルチャーの担い手が電子音楽マーラー交響曲リゲティの「アトモスフェール」などを一種のトリップミュージックとして聴いていた影響があることは見逃せない事実だと思います。

 

実はボッタクリではなかったシュトックハウゼン全集

90年代にシュトックハウゼン出版社から発表された全集CDの価格は為替レートの問題もあったうえに、おそらく卸業者が利益を取っていたため、1枚4000円近い価格でした。それゆえ、「まるでお布施のようだ」とか「ボッタクリ」とか「何かの間違い」とかいう風評が立っていました。

しかし、ドイツ・グラモフォンからリリースされていたLPレコードと比較すると、CDで2枚組だった「シリウス」はLPでは「3枚組」で、ドイツ・グラモフォンは1枚あたり2500円程度の価格を付けていましたから3枚で7000円くらいのお値段になっていたと記憶しています。(プレス代だけを云うのなら1枚でも3枚でもほとんど変わらないはずです。)

現在の為替レートでは、「シリウス」(2枚組)の価格は日本円で5000円弱です。(ただし直販船便の場合のみですが)

シュトックハウゼンにまつわる珍事

・私はグル(導師)は嫌いだ(ジョルジ・リゲティ
シュトックハウゼン帝国主義に奉仕する(コーネリアス・カーデュー)
・新語づくりの名人(アレックス・ロス
・シュピラール(オーボエと短波受信機のための)のラジオ放送中止事件*2
・ザック事件*3
・顔の踊り事件*4
・(「シュティムンク」パリ初演に関して)この瞑想的な音響が永久に続けば良いという心境に至った。(パリの新聞)*5
シュトックハウゼン9.11テロを賛美。これは文脈の全体を無視して発言の一部だけを切り出して針小棒大に放送する報道姿勢に問題があります。*6

こうした一連の事件や毀誉褒貶などは大御所の証のごとく、ゴシップ的に出てくるものなので、一般リスナーにとってはよりエキサイトする事象なのです。なかには本当にただの誤解も含まれているので、そうしたものは丁寧に整理していく必要があるでしょう。


シュトックハウゼンを占う

作曲家の生年月日をもとに四柱推命をやって、その結果を作風と無理矢理結びつけるのは、故 宇野功芳先生の良くない趣味なので、一応占い師のはしくれをやっている自分は公式にはそういうことをしないのですが、個人的にやっている分には面白いので、一応簡単に書いてみます。当たっているか外れているかは私にもわかりません。そして、こういうのはこれが最初で最後にします。

まず四柱推命から。

四柱推命では、理論的には陰陽五行の配分が最も重視されるのですが、これを実践するとあまり当たったためしがなく、理論的には当てにならないと言われる特殊星は経験的によく当たるので、その中の代表的なものだけ紹介します。

(華蓋)

これは芸術家や宗教家にはたいていあるので、ある意味あって当然とも言えます。

https://sityuu.com/hosi06/

(咸池)

色恋関連のトラブルを暗示する星です。シュトックハウゼンの私生活はあまり知らなかったのですが、実際にそういう人だったようです。

https://sityuu.com/hosi10/

(羊刀)
この星は鑑定が難しいのですけれども、簡単にいえば自己主張が強いので、立身出世運のほうに傾けば良いのですが、そうでない場合もあります。
https://sityuu.com/hosi08/

次に西洋占星術
実は今手元に詳細ホロスコープを算定するソフトがなく、自分の記憶だけを頼りにして書きますと、この方に最も大きく作用する星は「太陽」です。太陽は自分自身を表しますから、シュトックハウゼンは自分自身からしか影響を受けていないのだとも解釈できますが、他の惑星からの影響もあるわけなので、詳しく鑑定すればもっと詳しいことがわかるかと思います。

余談ですが、トランスサタニアン(冥王星海王星天王星)の絶大な影響下にある、つまり個性が並外れて強力になりがちな女性アーティストがいます。さて、誰でしょう。という謎掛けをしてこの駄文を終わります。

結びに

青春時代に聴いたさまざまな音楽の多くは、今となっては「どうしてこんな音楽が好きだったんだろう」と首を傾げそうになるものや、「あの頃の○○○は良かったね」という回顧型になっているのですが、冒頭に掲げたシュトックハウゼンマイルス・デイヴィスキング・クリムゾンは今でも色褪せず輝いています。

明日から令和元年になります。昭和時代に初めて触れて、平成の30年間もずっと聴き続けて、令和になってもこれらの偉大なミュージシャンを私は聴き続けることでしょう。

*1:90年代以降になって音楽の進歩幻想みたいなものがなくなったため、過去の名曲の再演で十分感動できるようになりました。

*2:軍事暗号のモールス信号を受信していたことが、BBSの放送法に反していたため

*3:ツィクルスの打楽器がセットされていたスタジオで放送関係者がデタラメな音を鳴らして録音し、ピョートル・ザック作曲「モビール」と命名して放送。評論家はデタラメだとは見抜けなかったが大変ひどい作品だという評価を下したとのこと

*4:おそらく万博来日時にシュトックハウゼン電子音楽をテレビで紹介するにあたり代表作といえる「少年の歌」をセレクトしたが「視覚の空白」を埋めるためにシュトックハウゼンの変な芸(顔のパーツをバラバラに動かす)をテレビで披露すると自ら申し出た。放送したかどうか不明。普通子どもが泣くだろうと思います。

*5:おそらく退屈しきったすえの皮肉だろうという話です。

*6:これに関してジョルジ・リゲティが「本当にそんなことを言ったのなら精神病院に入れろ」と発言したそうです