述而不作 いにしえの未来

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札幌国際芸術祭2017:なぜかシュトックハウゼン・刀根康尚・クリスチャン・マークレー

札幌芸術の森美術館で開催された札幌国際芸術祭2017に足を運んできました。

 

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近年よくある市民参加型のアートイベントで、美術/音楽/工芸/パフォーマンス等の展示が市内各地で同時多発的に実施されています。

あまり世評は良くないようですが、この種のイベントが大人気だったら逆に奇跡ですし、今から遡ること30年前にハコモノで盛大な赤字を出した「北海道 世界食の祭典」と違って、既存のハコモノを有効利用しているだけまだ良いほうだと思います。

芸術だとお高いがアートといえば格好がいい(?)

言葉の言い換えだと思いますが、クラシック音楽(19世紀以前)や泰西名画は「芸術」で、ノイズミュージックやビデオ等を駆使すれば「アート」であるらしく、このニュアンスの違いで云う限り、「アート」のほうが娯楽寄りになって少し集客につながるようです。

とはいうものの、迫力とスケールと集客力と喫驚度においては伝説の「大阪万博1970」をしのぐものではなく、娯楽性に関してはTDLのパレードやアトラクションをしのぐものではないので、政令指定都市とはいえ一地方都市である札幌市の文化事業としてはそれなりに意義あるものだと私は思います。

 

まずは EYE ドッカイドー/海

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このイベントに参加するには鑑賞前に待合室でサングラスをかけて15分ほど目を休ませる必要があります。上演が真っ暗な室内で行われるので、危険防止のための配慮かと思われます。

で、開演時間になってそろそろと入場。ふわふわの床マットに蓄光されたビーズが銀河系のように散乱する中、怪しい電子音楽がモワ~ンと鳴っています。

こうした音楽自体は普段から馴染んでいるので、まぁアートだから当然だなとは思ったものの、どうもどこかで聴いたことのあるフレーズがちらほらと・・・♪ウオエイウオエイ~ウェン~~~~ズデイとか言っているので、すぐに判明。

これ、シュトックハウゼンのシュティムンクですわ(笑)

とはいうものの、何かの元音源に相当な二次加工処理をしているらしく、リングモジュレータっぽい音や過剰なエコー、音高の極端な変化などがちらほらと響いていました。

そして、このイベントの楽しみ方は歩くのではなく、銀河系のような床マットを四つん這いで這いずり回るのです。

無我夢中でハイハイをしていると、なんとなく忘我の境地に近くなり、それと同時に子どもの頃には身近だった「床」と久々に対面するという不思議な体験でもありました。

 

これがオリジナルのシュティムンクです。

www.youtube.com

 

クリスチャン・マークレー 「NEW LIFE:リプレイのない展覧会」

 

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この週末はクロージングで盛り上がる「札幌国際芸術祭2017」へ! 注目作家クリスチャン・マークレーのインタビューと必見展示をご紹介します。 | News&Topics | Pen Online

 

クリスチャン・マークレーといえば、一般的には「ターンテーブルの人(でもDJじゃない)」という説明しにくいタイプのアーティストで、実は私もその程度のことしか知りませんが、このイベントは上のブログ記事のほうが詳しいので、そちらをご参照いただくとして、「動いているのが不思議な産業廃棄物レベルのIT機器」を駆使して、それらが解体され鉄ゴミになっていく映像を再帰的に楽しむものとなっています。

 

20年くらい前のPC、ガラケー、ブラウン管モニターの中にそれらが轟々という音を立てて解体される音と情景が映し出されるわけで、実は私も工事現場とか解体工場の騒音は、短時間聴いていればノイズ・ミュージックみたいだなと思ったことがありますので、ちょっとした慧眼になりました。

補記:そういえば、昨今の音響系と呼ばれる人たちの作品にはiPhoneを使った作品が増えてきたように思います。MacBookはもうだいぶ前から使われています。

 

刀根康尚 IL PLEUT

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あの実験音楽集団フルクサスの人です。オノヨーコさんの仲間です。生ける伝説のお方の作品をライブ(とはいっても電子音楽ですが)で堪能できるのは大変ありがたいことです。

極めて小さいスピーカー数百個を立体的に配置して、そのスピーカーから雨の音とともにフランス語と英語で「雨が降っている」「曇っている」「雨が降っていた」・・・という言葉が空間移動で走り回るというものです。

ただ、漫然と立っているだけではダメで、鑑賞者自ら室内を歩きまわることで、より空間移動の楽しみが倍増することになっています。できれば脚立などの道具があったほうがより立体的に聴こえると思いますが、さすがに展示会場にそういう無粋なモノは持ち込めないようです。

 

お客さんの反応

コンサートと違って出入り自由なわけですから、よくありがちな市民向けクラシックコンサートでの窮屈さに比べれば、こちらのほうが開放的で楽しめるものとなっていたようです。

 

ただ、楽しみ方の紹介はあったほうが良いようで、EYESの会場では「立って歩くのではなく、床を這ってみてください」とか、刀根康尚の会場では「どうぞ積極的に動き回ってみてください」という案内が欲しかったと思います。

 

 終わりに

今回のイベントのメイン会場は、この「札幌芸術の森美術館」と、旧川を利用した「モエレ沼公園」ですが、どちらも郊外の自然環境をうまく活かした施設となっていて、たびたび繰り返して申し訳ないですが、北海道のトラウマとなっている30年前の「 北海道食の祭典」のような大失態には至っておらず、その点嬉しいところです。

 

moerenumapark.jp

 

実は2018年に同種のハコモノがオープンすることになっていて、こちらは市内中心部に作っていますから自然との共生はあまりテーマには上がらないようですが、有効に活かして使ってくれることを願いたいものです。