コンサート見聞録 1985-2015(クラシック編)
幸いにして私はまだ認知症にはなっていないらしいですが、「耄碌」の影は日々忍び寄るもので、これを放置しておくと「俺はサッチモのコンサートに行ったことがある」などという妄言を話しだす恐れがあります。
そうならないための自戒として、自分がこれまで何かの縁で足を運んだコンサートの記録をつけていこうと思います。
1 伊福部昭「交響譚詩」ほか
ほかの演奏曲目を覚えていないのですが、岩城宏之指揮による野外コンサートでした。
岩城宏之氏、さっそうと指揮台に登って軽く会釈したあと、拍手が鳴り止まないうちに演奏を開始しました。おそらく演出効果としてあえてそうしたのだと思います。実際にとてもカッコ良かったです。
2 日本人作曲家によるとてつもない委嘱新作 と チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
プラザ合意後の金余りの時代に、某大手生命保険会社のお客様招待コンサートにて、その生命保険会社が単独で委嘱した現代作品新作と、誰かのコンチェルトと、チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」の3曲セットでした。
委嘱作のほうは、作曲家も曲名も覚えていないのですが、膨大な打楽器群を伴う作品で、招待客のほとんど全員が「口あんぐり」状態だったのは実に見ものでした。
一応のポピュラーなクラシック作品として「悲愴」が演奏されましたが、この曲を初めて聴く人は、まず第1楽章の展開部でいきなり最強音になる箇所でビックリ仰天し、第3楽章が壮麗に終わった時点で盛大な拍手をしたあと、しんみり終楽章を聴くことになります。
冒頭の現代曲といい、悲愴といい、全体的にあまり幸せになれないコンサートだったように記憶しています。
同じくプラザ合意後の金余り時代に、出入りの業者さんの招待で行ったコンサートです。
ファミリーコンサートの類では、かなりの割合で演奏されているこの曲ですが、あまりにも聴衆をバカにしすぎではないかと思います。
第2楽章は、いわゆる下校のテーマ「家路」ですし、第3楽章も第4楽章も必ずどこかで聴いたことがあるはずで、こういう曲を何百回演奏しても音楽の裾野を広げる結果にはならないのではないでしょうか。
4 高嶋ちさ子、高木綾子、曽根麻矢子(と、イタリアなんとか合奏団)
ヴァイオリンの高嶋ちさ子さん、フルートの高木綾子さん、チェンバロの曽根麻矢子さんによる、まぁ一種の美人ミュージシャンコンサートです。
高嶋ちさ子さんが楽しいMCをしてくれて、なかなか良いコンサートでした。高島ちさ子さんがヴィヴァルディの「四季」から「夏」を演奏、曽根麻矢子さんは通奏低音だから全曲通しで演奏していました。高木綾子さんの演奏曲を失念してしまったのが残念です。
さて、この3人で一斉に演奏できる曲があるのだろうかと思ったら、バッハの「ブランデンブルグ協奏曲第5番」ということで、面白い企画だなと思いました。
5 天満敦子「祈り」コンサート
ヴァイオリン奏者の天満敦子さんについて、私は特別の思い入れはないのですが、オルガンとのデュオによる「祈り」というCDが大好きなので、出向いた次第です。
全般的に年配の女性ファンが多く、ロビーでは「敦子さん、ステキねぇ」という声がちらほら聞こえました。
6 メシアン「トゥーランガリラ交響曲」
おそらく、こんな大編成オーケストラを目のあたりにするのはおそらくこれが最初で最後になると思いました。
チェレスタ2台とピアノとオンド・マルトノがステージ狭しとセットされ、特に物珍しいオンド・マルトノについては、私も含めて初めて見るという人も多く、最前列でしげしげと見ている人が多数おりました。
この曲を聴きに行くような人たちは、自宅でCDを聴いて予習をしてきているので、拍手も堂に入ったものでした。
ほかにも多々あるのですが、思いついたらその時に書くことにしましょう。