述而不作 いにしえの未来

占い師の見てきた世の中を語ります 遥か古代から続く終わりの始まりを見据えて

シュトックハウゼン「シュティムンク」コンサート ちょっと変わった聴きどころなど

カールハインツ・シュトックハウゼンの1960年代後半作品「シュティムンク」が、大阪万博以来45年ぶりに日本で再演されます。

 

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この時期の作品群は「前衛の旗手が煮詰まって神秘主義に走ってオカシくなった」などと揶揄されることが多いのですが、そもそも作曲家が神秘主義に入れあげたら作曲ができなくなるはずなので、単に創作のテーマがやや表題的になったという程度のことだろうと私は思っています。

 

シュトックハウゼンの音源がほとんど入手できない頃、あるいは極めて高価であった頃に、この曲はポール・ヒリヤーがSingcircle名義でリリースしたCDがハイペリオンから入手できたので、私はかなり何度も繰り返してこの曲を聴きました。

 

そして、この曲を聴く15年くらい前に、中古LPで入手していたジョアン・ラ・バーバラの初期音源で、似たような(でも、けっこう違います)唱法の楽曲を聴いていたので、なんら違和感なく楽しめました。

 

ラ・バーバラの音源はコチラです。

 

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この中の、「Voice Piece:One-Note Internal Resonance Investigation」という曲の発声が、シュティムンク倍音唱法とよく似て聞こえたので、シュティムンクも違和感なく楽しめました。

ただ、ラ・バーバラの歌唱は、口をあまり開けずに喉と鼻母音を主体にやっているように聴こえるのに対して、「シュティムンク」はウォイィ・・・と口を開けて歌っていると思います。

 

また、世界中の神様の名前 (Magic Nameといいます)が、あるときには「割りと普通に」、ときにはその「神様の性格にふさわしく」唱えられ、その名前がそのままキラキラと反射するように、他の歌手が受け継いで発音するところも、なかなか面白いところです。

同時期のシュトックハウゼン作品群をちょっと整理すると

◯「テレムジーク」(世界各国の民族音楽

◯「ヒュムネン」(世界各国の国歌)

◯「シュティムンク」(世界各地の神様)

 となって、シュトックハウゼンが音楽で世界平和を訴えたことはたぶん無いと思いますが、世界調和の音楽として聴いてみても良いのではないかと思います。